南山伏町の王子
その猫を王子と僕らは呼んでいる
王子は一人暮らしのおばあちゃんと暮らしていた
王子はおばーちゃんにしかなついていなかった
近くによっても縄張りにはなかなかいれてくれなかった
だから僕らは遠くから見守っていました
ある日、僕らが家に帰ってきたとき、駆け寄って擦り寄ってきた
あくる日 帰り道、尻尾をたてて 寄り添ってきた
ずいぶん人なつくなったな
王子は町の人の顔やにおいや歩く音を覚えたのだろう
王子の縄張り近くを歩くと現れる
ある日 毎朝 ゴルフの素振りをやっているおじさんが猫に餌を与えていた
「かわいいですね」と尋ねると おじさんはもう二ヶ月くらい前かな・・・
ここのおばーちゃん亡くなったんですよ
それ以来 町のみんなが面倒をみてるんですよ。
王子の縄張りは広い 今日も二階建てのアパートの階段をあがって、中学生の男の子に
「おなかすいたよ 俺 遊んでやるから」
といって訪問癒しをしながら生きています。
王子は町の人気者
王子は強くたくましく生きています
王子は黒猫のけんか友達がいるらしい