TeraCoreFM休閑閑話

旧butiPanther'sblogからタイトルをTeraCoreFM休閑閑話に変更しました

資本準備金から眺める投資リスク

数年前 IPOの準備のため人デューデリを委託され調査を行った。
結論からいうと取引先、資金調達の段階での信用状況のリスクが高かった
せっかく、プライム上場企業も資本参加していたのだがIPOに向けての活動は当面凍結となった。

その後、類似の事象を多数みてきました。
そこで、スタートアップでシリーズA・シリーズBでのリスク企業を見分ける共通ポイントとして、資本金と資本準備金に注目する事をお勧めしたい。

ポイントはスタートアップ企業のホームページ会社概要等の資本金の欄で#,###,###,###円 (※資本準備金含む)といった表示を数年にわたり記載し続けている会社は要注意として考える事をお勧めです

資本準備金を簡単に説明すると
創業時に払い込まれた資金の中で資本金として計上せず、万が一、事業で赤字が発生した際などの補填のために使用する目的で取っておくお金のことを資本準備金といいます。
税法上、資本金の2分の1を超えない金額について、資本準備金として資本金に計上しなくてよいとされています。

  • 資本準備金の性格とメリットは、
    将来の支出に際してどの程度備えているか示す基準がわかる
    資本準備金は登記簿に記載されない
    資本準備金からの振り替えで増資ができる

しかし、実際スタートアップ企業の多くは事業成長が計画通りにいかないケースの方が多い
IPOに向けて屍が累々とするものです
資本主義世界の定めなのです。

そうなると、資金繰り困難になった場合、資本準備金の取り崩しをかんがえなければいけないのですが、
前述した通り、資本準備金は、資本金の2分の1を超えない金額までしか計上することができず、取り崩しには厳格な手続きが必要です。そのため、資本準備金を集めても、資金繰りが悪化した際にすぐには取り崩すことが困難になります

なぜ、困難なのか
資本準備金の取り崩しの手続きには

・債権者保護手続きを経る必要がある
株主総会の特別決議が必要
資本準備金の取り崩し目的が合理的である必要がある
資本準備金は資本金に計上されていないため、資本金の取り崩しと同様に、債権者保護の観点から厳格な手続きが必要とされているためです。また、資本準備金の取り崩しには、株主総会の特別決議が必要となります。
これはIPOを目指す活動において、審査で不利な評価につながります。

企業信用、出資者にたいしても面子がたたなくなる問題に直面します。

上記の問題は金融庁ガイドラインに記載しているので参考にしてください
上場会社が公表する財務情報に関するガイドライン
https://www.fsa.go.jp/common/law/kaiji/index.html

実際問題、シリーズA/B、あるあるで
上記の債権者保護手続きも、株主総会決議もせずに取り崩してしまっている会社が多い

そのうえで、登記簿に登記されない資本準備金を赤字状態でも
ホームページに掲載続け、資金調達活動を進める会社が多いのが実態です。

問題点の整理です。
ホームページ等で資本金の欄に資本準備金を含むと記載している問題点は、以下の2つが挙げられます。

1,誤解を招く可能性がある
資本金と資本準備金は、会社法上異なる概念であり、資本金は会社の財産的基礎を示す重要な指標となります。そのため、ホームページ等で資本金の欄に資本準備金を含むと記載すると、資本金が過大に表示されることとなり、投資家や取引先に誤解を与える可能性があります。

2,上場審査でマイナスの評価を受ける可能性がある
上場審査では、企業の財務状況が厳しく審査されます。そのため、ホームページ等で資本金の欄に資本準備金を含むと記載すると、資本準備金の取り崩しが困難であるという問題点が指摘され、上場審査でマイナスの評価を受ける可能性があります。


本来なら 上場企業ではないので開示義務はありませんが、「資本金及び資本準備金の額の減少  並びに剰余金の処分に関するお知らせ」などの開示をするなど
投資家にむけて、告知すべきと考えています

通常 うまくいけば資本準備金掲示してから、IPOまで2期から3期かかります

それ以上の期で資本金の増額などなく 資本準備金の記載が続くスタートアップ企業の経営は困難な状況に陥っている可能性があると
みて、総合的なデューデリを強化する必要があると考えます。