蟻よんだよ
レビュー書くね
うーんこの本はある意味攻撃的な本である
蟻の生態を借りて 社会組織論 思想 言語 宗教論 情報統制のあり様を記述した
社会原理論であると思う。
どこまでが真実の蟻の生理・蟻の行動を学問的に論証しているのかは不明確ではあるが
SFという位置づけなので そこは言及せん。
言語のセンシングと此処で述べている蟻の社会文化構成論と複雑系選択論は理解できる
ただ 蟻の社会を近代日本に照らし合わせて説明しているのは如何なものかと思う。
日本を描写している箇所を引用する。
”島国の民族である日本人は、何世紀にも渡って、自給自足の習慣を持っていた。
彼らにとって、世界は二つに分かれています。すなわち日本人と非日本人。”
なるほど。
”彼らの死生観は我々のものとは違います。日本では、個人の死は。あまり大きな重要性を持たん。
彼らが気にしている事は、物を生産する人間がすくなくなるという事のほうだ。死になれる為には。日本人は、
戦いの技術を追求をすることを好みます。剣道が低学年から教えられています。”
正しいんじゃないの 今の現代の日本人には当てはまらない。?いや現在の日本の家庭崩壊はその延長?
おいらの時代は確かにそうだった 警察署で剣道ならっていたし 子供の頃に礼節と精神論はなんとなく理解できた。
今はそれがないのだろうか?
”かがんでいる男が両手で短刀を自分の腹に向けています。{儀式的な自殺です。切腹は日本の文化のもう一つの側面ですが、
これを理解するのは大変難しい事です。・・・・・」。
ウェルベルは蟻を通して、彼が思い描く日本人を現してその特異性社会を近未来に蟻(昆虫)日本人と欧米文化のコミュニケーション
そして闘争論を描こうとしていたのだと思う。
非常に興味深い本だ。
ただもし日本の国粋主義者がこれをよんだら いや 対極の左よりの人間もこの本の内容を知れば、一定のアレルギー反応を持つはずなのだが。
その手の人たちはまだ読んでいないようだw
でも場面展開はおもしろい、今はやりのノンストップトリプルストーリーの展開
蟻の世界と思えば お茶の間でSFをみているシーンだったり。 いろいろ 工夫がなされていておもしろい。
人間の話なのか 蟻のはなしなのか 時々ページをめくりなおさなくてはいけないw
あと必見なのは民明書房に匹敵するw (わかる人だけ爆笑してください。)エドモン・ウエルズ「相対的かつ絶対知的の百科事典」は編纂して手元に置いときたいw
”無 考えをやめてしまうほど快感のあることが他にあるだろうか―自分を空っぽにしてしまう事が最高の原点に戻る事である。そして、何も考えないだれか、でもなくなってしまう事。それは非常に高尚な野望である”
おー久々に哲学だね。
人間のフェロモンについてもおもしろかった。
女性の性の同一化ってどこまで本当なの?
素朴な疑問 女子高とか女囚刑務所の中にいると生理同じ日になるの? トリビアで実験してくれないかな。
うんなわけねーなw
あと生物としての究極の合理性を痛感したのは次の一文
事件の報告―
女王アリはその事故でいったい何匹死んだのかと聞く
”彼はその一団の中で唯一の雄蟻であった。彼女はちょっと気持ちを集中して、次から次へと28個の卵を産んでいく
28匹のアリが死に28個の卵が生まれた。
なんという無常観なのだろう・・・・
生命の共生とは・・・・
例によってブクログには更新しましたよ